【函館】油断できない函館の地震・津波・洪水・火災、停電と家づくりでの防災対策

美しい港町の、もうひとつの顔

三方を海に囲まれ、函館山を背にした坂の街。異国情緒あふれる街並みと夜景で知られる函館は、多くの人を惹きつける港町です。

しかしその地形は、災害という視点で見ると別の顔を持ちます。津軽海峡に面した低地に市街地が広がり、風が強く、地震・津波の想定区域を抱える。函館の歴史は、こうした自然の力と向き合い続けてきた歴史でもあります。

上記画像=函館市防災ハザードマップweb版で、地震、津波、高潮、洪水、土砂災害などのリスクがあるエリアを調べると、函館市全域がもれなく何らかの災害リスクを抱えていることがわかります。

その一方で、現在の函館市民は、大きな災害をほとんど経験しておらず、函館に災害リスクがある、と言われてもさほどピンとこない面があります。

震度6弱以上の地震確率が全国トップクラスに低い

政府の地震調査研究推進本部などのデータによると、函館エリアで今後30年以内に震度6弱以上の大地震に見舞われる確率は約4.8%とされています。これは全国的にも非常に低い数値です。

台風が直撃しにくい

本州を北上してきた台風は、北海道に接近・上陸する頃には勢力が弱まり「温帯低気圧」に変わることがほとんどです。風水害の大規模な被災経験が少ない大きな要因となっています。

 大雪の被害も比較的穏やか

北海道の中でも南部に位置する函館は、豪雪地帯として知られる札幌や豪雪地帯の山間部と比べると積雪量が少なく、雪害で街の機能が長期麻痺するような事態もめったにありません。

ですが、大きな災害を近年経験していない地域こそ、大災害に見舞われたときに適切な対処ができない傾向があります。また2018年9月6日の北海道胆振東部地震とその後のブラックアウトなど、広域での災害リスクもあります。油断はできません。

ここでは、函館がこれまで経験してきた主な災害と、市が公開するハザードマップから「どのエリアのリスクが高く、どこが比較的低いのか」、「災害に強い家づくりはどのようにすればよいか」のヒントをお伝えします。

火災 ― 「大火の街」と呼ばれた歴史

函館の災害史を語るうえで、まず外せないのが火災です。函館は明治から昭和戦前期にかけて、少なくとも25件もの大火に見舞われてきました。強い海風と、密集した木造家屋。この組み合わせが、たびたび街を焼き尽くす惨事を招いてきたのです。

なかでも最大の惨事が、1934年(昭和9年)3月21日夕方に発生した「函館大火」です。強風にあおられた炎は市街地を一気に呑み込み、死者・行方不明者はおよそ2,166名、焼失した建物は1万棟を超えました。この大火からの復興と市民の士気を高める目的で翌1935年に始まったのが、いまも夏を彩る「函館港まつり」です。

大火が繰り返された背景には、木造密集地・強風・消火体制の限界がありました。その教訓は、防火建築や街づくり、そして現代の住宅の耐火性能へと受け継がれています。


地震・津波 ― 海に囲まれた街のリスク

赤は震度6強、濃いオレンジは震度6弱、薄いオレンジは震度5強、黄色は震度4以下(函館市防災ハザードマップweb版)

渡島半島は、道東・道央の太平洋沿岸に次ぐ地震・津波の災害地域とされています。函館平野のような軟弱地盤が厚く堆積した場所では、揺れが増幅されやすいことも指摘されています。

過去の主な地震・津波

1993年(平成5年)北海道南西沖地震 … 奥尻島を中心に日本海側で甚大な津波被害をもたらした地震です。渡島半島西岸も被害を受け、道南が地震・津波の危険地域であることを改めて突きつけました。

2018年(平成30年)北海道胆振東部地震 … 震源は函館から離れていましたが、北海道全域が停電する「ブラックアウト」が発生。函館を含む道内全域で、電気に依存した現代生活の脆さが浮き彫りになりました。

津波災害警戒区域 オレンジや赤色は津波災害警戒区域(函館市防災ハザードマップweb版)れから想定される「最大クラス」の津波

国と北海道は、「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震」を想定した被害予測を公表しています。この最大クラスのモデルでは、函館市でも最大10メートル程度の津波が想定されています。発生頻度は極めて低いとされるものの、ひとたび起きれば甚大な被害をもたらす規模です。


ハザードマップで読む函館 ― リスクの高いエリア・低いエリア

函館市は、この想定をもとに津波ハザードマップ(令和4年9月作成)を公開しています。実際の地図を見ると、リスクの高低が地形にくっきり沿っていることが分かります。ポイントは「海抜(標高)」です。

浸水リスクが高いエリア(海沿いの低地)

海に近く海抜が低い地域が、広く浸水想定区域に指定されています。おおむね次のような地域です。

中心市街地・函館駅周辺 … 若松町、大手町、松風町、海岸町、大森町、新川町、千歳町など。函館駅前は避難ビルの表示で海抜1メートル前後(駅前のホテルで海抜0.7〜1.1メートル)と、市内でもとりわけ標高が低いエリアです。

西部地区の海側 … 入舟町、弁天町、大町、末広町、豊川町、東川町など。元町・弥生町・宝来町・住吉町も、海に近い低い側の一部が対象です(山側の高台は対象外)。

港・北部の埋立地一帯 … 港町、亀田港町、北浜町、浅野町、富川町、大川町、八幡町、万代町、亀田本町の海側など。

湯の川・東部の海岸沿い … 湯川町、榎本町、花園町、さらに空港南側の高松町・柏崎町、志海苔町・銭亀町など海岸線の低地。

これらの地域は海抜0.7〜4メートル台が中心で、想定される浸水も深くなります。津波だけでなく、高潮の影響も受けやすい地形です。

浸水リスクが比較的低いエリア(内陸・高台)

一方で、標高のある内陸部や函館山麓の高台は、最大クラスの想定でも浸水区域外とされています。

五稜郭〜内陸の市街地 … 本町、五稜郭町、梁川町の大部分、中道、美原、昭和の内陸側など。五稜郭中学校で海抜約11メートル、千代台公園で約13メートルと、市街地でも一段高い台地に当たります。

函館山麓の高台 … 元町・弥生町の山側、日吉町など。函館山のふもとの弥生小学校は海抜約19メートルと、津波避難先にもなる高さです。

亀田・桔梗方面の内陸 … 産業道路より内陸側の住宅地の多くは浸水想定区域外です。

※避難対象地域は町名・番地単位で細かく指定されています。同じ町内でも海側と山側でリスクが分かれるため、土地選びや我が家の確認では、必ず函館市の最新のハザードマップ(Web版が便利です)でピンポイントの位置をご確認ください。色がついていない場所でも、地震や海岸施設の被害状況によっては浸水する可能性があるとされています。


大雨・洪水・土砂災害 ― 近年高まる水の脅威

黄色のラインは洪水や高潮による浸水継続時間が3日、青が1日。川沿いの茶色のラインは家屋倒壊など氾濫想定区域(函館市防災ハザードマップweb版)

近年、全国的に線状降水帯や台風による記録的な大雨が相次いでいます。北海道でも2024年(令和6年)7月に各地で観測記録を更新する大雨となり、函館を含む道南でも大雨・洪水への警戒が呼びかけられました。2018年の台風第21号のように、強風と大雨が同時に襲うこともあります。

函館では、松倉川・亀田川といった市街地を流れる河川の流域や、低地・排水の集まりやすい地区で、洪水・内水氾濫のリスクがあります。また坂の街ゆえに、傾斜地では土砂災害の警戒区域も点在します。函館市は津波・高潮・洪水・土砂・地震の情報をまとめて確認できる「函館市防災ハザードマップ Web版」を公開しており、住所から自宅周辺のリスクをまとめて調べられます。

海沿いの赤い表示は、土砂災害の特別警戒区域。薄い赤は危険個所(雪崩)。(函館市防災ハザードマップweb版)

海沿いの津波リスク、川沿い・低地の水害リスク、傾斜地の土砂災害リスク。函館は立地によって「備えるべき災害」が変わることを意識しておきたい街です。

ブラックアウトの教訓と、「停電に強い家」

函館の災害を考えるうえで、津波や火災と並んで見落とせないのが停電です。2018年の胆振東部地震では、震源から離れた函館も含めて北海道全域が停電しました。真夏だったため難を逃れた面もありますが、これがもし真冬だったら――と考えると、寒冷地・函館では停電は暖房の停止に直結し、命に関わる問題になります。

大地震はもちろん、大雪や暴風でも停電は起こり得ます。だからこそ、これからの家づくりでは「電気が止まっても、暮らしと室温を守れるか」という視点が重要になります。

ZEH住宅が停電に強い理由

その答えのひとつが、山野内建設が手がける**ZEH(ゼッチ/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)**です。ZEHは、「高断熱で使うエネルギーを減らし、太陽光発電などでエネルギーをつくる」ことで、年間のエネルギー収支を実質ゼロに近づける住宅です。この考え方は、そのまま停電への備えにもつながります。

太陽光発電+蓄電池で電気を自給できる … 太陽光でつくった電気を蓄電池にためておけば、停電時も冷蔵庫・照明・スマホの充電・暖房の一部など、暮らしに必要な電力をまかなえます。日中は発電し、夜は蓄電池から使う――停電が長引いても電気が途切れにくい暮らしが可能になります。

高断熱だから、暖房が止まっても室温が下がりにくい … ZEHの土台となる高い断熱・気密性能は、いわば「魔法瓶」のような家。万一暖房が止まっても室温の低下がゆるやかで、寒さから家族を守る時間を稼げます。これは冬の停電が命に関わる北海道で、とりわけ大きな安心です。

平常時は光熱費を抑え、非常時は命を守る … 普段は省エネで家計にやさしく、いざというときは在宅避難を支える。ZEHは「日常のメリット」と「もしもの備え」を両立できる住まいです。

もちろん、太陽光や蓄電池の容量によってまかなえる範囲は変わります。どの程度の停電にどこまで備えたいかは、暮らし方に合わせて設計段階で相談するのがおすすめです。山野内建設では、函館の気候と災害リスクを踏まえたうえで、停電にも強い高性能な住まいをご提案しています。

これからの家づくりで押さえたい備え

函館の災害史とハザードマップは、そのまま「この土地で暮らす備え」のヒントになります。

土地選びはハザードマップから … 津波・洪水・土砂の浸水想定区域や海抜を、購入・建築前に確認する。同じ町内でも海側と山側でリスクが変わります。

赤は地震液状化危険度(液状化発生確率)10%~20%。濃いオレンジは1~10%。(函館市防災ハザードマップweb版)

 液状化のリスクに関しては個々の土地によっても大きく異なるため、家づくりに際しては地盤調査を行ったうえで、地盤改良などの検討が必要です。

火災に強い構造・素材 … 大火の教訓を持つ街だからこそ、外壁・屋根の防火性能や延焼を防ぐ工夫を意識する。

停電に強い住まい … 太陽光+蓄電池と高断熱で、電気が止まっても暮らしと室温を守れる家に。寒冷地・函館では冬の停電対策が特に重要です。

避難を前提にした住まい方 … 避難場所・避難経路を家族で共有し、非常持ち出し品を備える。建物の備えと行動の備え、両方が揃って初めて安心につながります。

おわりに

函館は、火災・地震・津波・大雨、そして停電と、さまざまな災害を乗り越えながら今日の姿を築いてきました。過去を知り、ハザードマップで我が家のリスクを知ることは、悲観するためではなく、賢く備えるためです。

美しい港町でこれからも安心して暮らし続けるために。土地を選ぶとき、家を建てるとき、そして日々の暮らしのなかで、「この街の災害史」と「停電に強い家」という視点を思い出していただければと思います。

※本コラムの被害数値や浸水想定は、函館市・北海道・国(内閣府・気象庁)などの公表資料(函館市津波ハザードマップ令和4年9月作成ほか)に基づいています。避難対象地域は番地単位で細かく指定されるため、最新の情報とご自宅周辺の詳細は、函館市防災ハザードマップおよび各種公的資料で必ずご確認ください。

参考記事

地球環境問題や、災害時対応も踏まえると太陽光発電は必要と考えました。冬寒い、夏暑いなどと不満を言いながら暮らすより、断熱・気密性能の高い家にしたいと考えました。

太陽光パネルは屋根に約13kw搭載しています。10kwでおおよそ1日の光熱費を賄えるので、13kw搭載していれば、余分な電力は蓄電池や電気自動車(EV)に貯めて、雨の日などの電力として使ったり、売電したり、車の走行用に使用できます。もし大規模な災害などで、停電が発生しても、太陽光発電と蓄電池、電気自動車のバッテリーに蓄えられたエネルギーでおよそ4~5日の住まいの冷暖房、照明、給湯、家電などの電力に困らないので災害時の備えになります。

T様邸を貫くもう一つの大きなテーマが、家族を守る防災力です。

省エネ性能や太陽光発電による電力の自給については後ほど触れますが、それに加えて、非常食・水・カセットコンロといった備蓄を備えておくことで、災害時に救援が届くまでの食糧と燃料を確保できます。高い住宅性能と日常の備えが組み合わさることで、いざというときに家族を支える住まいになっています。私の実家は宮城で、東日本大震災のときには1週間停電しました。この家は非常用コンセントで太陽光の電力を使えます。売電価格が下がり、蓄電池や電気自動車が安くなれば、電気を貯めることも考えたいです。これだけ省エネ性能が高く、室温設定も抑えて暮らしているので、光熱費はかなり安く収まる気がします。これから家族で検証していくのが楽しみです。

この記事を書いた人

山野内建設

道南(函館・八雲エリア)で新築戸建て住宅・リノベーションを行っています。高断熱高気密に太陽光発電を組み合わせ光熱費負担を実質ゼロにする家づくりで「全棟ZEH宣言」を行っています。