結露には2種類ある

住宅における結露には、表面結露と壁内結露(内部結露)の2種類があります。
表面結露は窓ガラスや壁の表面に水滴がつく現象です。見た目でわかりやすく、多くの方が経験したことがあると思います。カビや汚れの原因になりますが、比較的対処しやすい問題です。
壁内結露(内部結露)は断熱材の中や壁の内部で発生する結露で、外からは見えません。これが住宅にとって本当に怖い結露です。壁の内部で結露が繰り返されると、断熱材が水分を吸って断熱性能が低下し、木材が腐朽し、カビが繁殖し、シロアリを呼び込むという悪循環が起きます。築20〜30年の住宅を解体すると、壁の中が腐っていたというケースは函館・道南でも決して珍しくありません。
なぜ断熱材を入れただけでは結露が起きるか
1970〜80年代、北海道では住宅の断熱化が急速に進みました。オイルショックを契機に暖房エネルギーを削減しようと、多くの住宅会社が断熱材を壁に充填するようになったのです。しかしこの「断熱材を入れるだけ」の対応が、壁内結露という深刻な問題を引き起こしました。
問題の本質は2つありました。
ひとつは気密性の欠如です。在来木造工法の住宅は壁の上下に隙間があり、室内の暖かく湿った空気が壁の内部を自由に流れていました。この空気が壁の中の冷たい部分に触れると結露が発生します。
もうひとつは通気層の欠如です。断熱材の外側に通気層がなければ、万が一壁内に侵入した湿気が逃げ場を失い、内部に蓄積されます。
当時の建築業界も研究機関もこの問題の原因を即座に解明できず、北海道各地で結露・カビ・腐朽による住宅被害が続出しました。
高断熱在来木造工法による解決
この問題に取り組んだのが、新住協(新木造住宅技術研究協議会)を中心とした研究者・工務店のグループです。山野内建設の代表・山野内辰男は1980年代にこの取り組みを学び、断熱・気密・通気層・気流止めを組み合わせた高断熱在来木造工法を早くから実践してきました。
高断熱在来木造工法とは、改良されていない在来木造工法の欠陥を解消するために、次の対策を徹底した工法です。
壁の上下に気流止めを設置することで、壁内の気流や天井裏に抜ける空気を遮断します。通気層工法を採用することで、断熱材の外側に通気層を確保し、万が一壁内に入った湿気を外へ逃がします。この2つを組み合わせることで、断熱材は計算通りの効果を発揮し、隙間風もなくなり、木材も腐らなくなります。
内部結露対策の4つの柱
内部結露対策の基本は「湿気を壁内に入れない(防湿・気密)」と「万が一入っても排出する(通気層)」の徹底です。具体的には以下の4つの柱で構成されます。
① 連続した防湿気密層(室内側)

室内側に高性能な防湿フィルム(透湿抵抗の高いポリエチレン防湿シート)を隙間なく連続して施工し、暖かく湿った室内の空気が壁内へ入り込むのを防ぎます。コンセントボックスまわりや窓まわりなど、細部の施工精度が気密性能を大きく左右します。
石膏ボードで気密層を抑えるボード気密工法も有効で、安定した気密性能を確保できます。
② 気流止め(重要)

壁の上下(天井・床との接合部)に気流止めを設け、壁内外壁の気流や冷気が壁内に侵入するのを遮断します。これは見落とされがちですが、内部結露対策において最も重要な施工です。
気流止めがない場合、床下の冷たい空気が壁の内部を通って天井裏に抜けるという「気流」が生じます。この気流が断熱材を冷やし、結露を引き起こします。気流止めを設けることで初めて断熱材が本来の性能を発揮できるようになります。山野内建設が採用しているツーバイ工法は「枠組壁工法」と呼ばれた木枠に構造用合板を打ち付けた「パネル」で組み立てるため、気流止めが原則不要です。
③ 外壁通気層(外部側)

断熱材のすぐ外側に通気層(一般的に15〜18mm程度の空気層)を設け、万が一壁内に侵入した湿気が外へ逃げる構造にします。通気層は外壁下部から空気を取り込み、軒天や棟から排出する経路を確保することが重要です。
通気層があることで、壁内の湿気が外気に排出されるため、結露が蓄積されません。これが「万が一入っても排出する」という考え方の実装です。
④ 屋根・天井・基礎の断熱処理
天井断熱においても、防湿シートで気密を取り、断熱材を密着させて施工します。天井と外壁の接合部にも気流止めを設けることが必要です。
基礎断熱の場合は、床下環境を安定させ気流を止めることで、床下からの冷気侵入と湿気問題を同時に解決します。
結露を防ぐための素材選び
防湿・透湿の制御も重要です。断熱材は湿気を通しやすい繊維系(グラスウール・セルロースファイバーなど)を使い、室内側は防湿、外側は通気という基本構造を守ります。
室内側の防湿シートは透湿抵抗が高いもの(JIS A 6930適合品など)を選び、外側の透湿防水シートは湿気を通しやすいものを選ぶことで、壁の内側から外側への湿気の方向を一定に保つことができます。
C値(気密性能)と換気システム
気密性能は「C値(相当隙間面積)」という数値で表されます。C値が小さいほど隙間が少なく、室内の湿った空気が壁の中に入り込みにくくなります。一般的にはC値1.0以下が高気密の目安ですが、山野内建設ではC値0.2〜0.5程度の高い気密性能を実現しています。

気密性能は、住宅施工後に、気密測定を行うことで性能値を確認できます。
気密性が高い住宅では、自然換気だけでは空気が入れ替わりません。そのため機械換気システムによる計画換気が必須です。
第三種換気は給気は自然で排気だけ機械で行う方式です。コストが低く多くの住宅で採用されていますが、冬場に冷たい外気がそのまま室内に入るため給気口付近が寒くなるデメリットがあります。
**第一種換気(熱交換型)**は給気・排気ともに機械で行い、熱交換器によって排気の熱を給気に移してから室内に取り込む方式です。冬でも暖かい空気が供給され、換気による熱損失を大幅に抑えられます。高断熱高気密住宅との相性が非常に高く、山野内建設のZEH住宅では第一種換気(熱交換型)を標準採用しています。
山野内建設が1980年代から取り組んできた理由
山野内建設の代表・山野内辰男は、北海道で壁内結露問題が深刻化した1980年代に、断熱・気密・換気・通気層の四位一体が解決策であることをいち早く確認し、1990年には高断熱高気密住宅のモデルハウスを公開しています。
新住協八雲支部を結成し、気流止めの施工技術や通気層の確保方法など、大工の施工技術レベルの向上にも取り組んできました。この35年以上にわたる実践の積み重ねが、現在の山野内建設の家づくりの土台になっています。
既存住宅の結露をリノベで解決
現在結露・カビに悩んでいる方、「冬になると窓が真っ白になる」「押し入れがカビくさい」という状況の方は、断熱・気密・通気層のいずれかが不十分な可能性があります。
山野内建設では、既存住宅の結露問題も断熱リノベーションで解決してきた実績があります。内張り断熱・外張り断熱・スケルトンリノベなど、建物の状況や予算に応じた方法で、結露ゼロの高性能住宅に生まれ変わらせることができます。
リノベーションの際は、断熱材を入れるだけでなく、気流止めの設置・通気層の確保・防湿シートの施工をセットで行うことが重要です。どれか一つが欠けると結露対策は不完全なままになります。
「家の中がカビくさい」「窓の結露がひどい」という方は、まず現状の診断から始めることが大切です。山野内建設にご相談いただければ、現在の住宅の状態を確認した上で、最適なリノベーション計画をご提案します。



