光熱費ゼロを超えて「CO2マイナス」へ。防災力も備えたLCCM住宅|北斗市・T様邸

2019年末に完成した北斗市のT様邸。「片流れ」のすっきりとした外観に加え、間取りや内装の細やかな工夫が随所に光る住まいです。そして最大の特長は、環境にも家計にもやさしいLCCM住宅であること。光熱費が実質ゼロになるだけでなく、暮らしのなかで生まれるCO2の収支までマイナスに近づける、一歩進んだ省エネ住宅です。

まずは、住まいの見どころからご紹介します。

内と外、ディテールに宿る工夫

外観の色合いとの調和で、玄関ドアの色はT様も最後まで迷われたポイント。仕上がってみると、外壁になじみながらも品よく映える色合いに落ち着きました。

室内は白を基調としつつ、要所にアクセントとなる色やデザインを効かせて、単調にならない変化をつけています。

玄関横にはウォークスルークローゼットを設け、アウター・靴・スーツケースまで収められるので、玄関まわりが常にすっきり保てます。

リビングは2階の天井まで届く吹き抜け空間。開放感はもちろん、2階の子ども部屋とリビングとのあいだで親子が声を掛け合いやすいのも、吹き抜けならではの利点です。

「20℃設定+こたつ」という、北海道では意外な暮らし方

T様邸は非常に高性能な高断熱・高気密住宅で、室内の暖気が屋外へほとんど逃げません。そのため、わずかな暖房エネルギーで家じゅうを暖かく保てます。暖房は床下に設置した6畳用エアコン1台のみ。各部屋に暖房機器を置く必要すらありません。

ところが、そのリビングにはこたつがあります。本州出身のご主人は、こう話します。

ご主人 「北海道の方は室温を24℃くらいに高く設定して、冬でもTシャツでビール、という話を聞きます。でも私たちの暮らしには、そこまでの室温は必要ないんです。エネルギーの面でも、環境への負荷が増えてしまう気がして。高断熱高気密を大前提にしたうえで、冬の室温は20℃設定にする。それで暖房のエネルギーをさらに抑えつつ、本州のように家族が自然とこたつに集まって団らんできる。そんなリビングがいいなと思ったんです」

テレビの背後にある木の壁は、ご主人の実家を建てたときに浴室天井へ使った木材の端材。お父さまが「いつか役に立つかも」と保存していたものを、息子であるT様の新築に提供してくれたものです。

家事のしやすさと、たっぷりの収納

キッチンは対面式ですが、来客からシンクの中が見えないよう、手前に目隠しの壁を配置。キッチン手前に併設したカウンターで朝食をとれば、そのまま洗い物までサッと片づきます。キッチンの奥にはパントリー(食品庫)。食材をたっぷり保管できる収納空間が広がっています。

この家の裏テーマは「防災力」

T様邸を貫くもう一つの大きなテーマが、家族を守る防災力です。

省エネ性能や太陽光発電による電力の自給については後ほど触れますが、それに加えて、非常食・水・カセットコンロといった備蓄を備えておくことで、災害時に救援が届くまでの食糧と燃料を確保できます。高い住宅性能と日常の備えが組み合わさることで、いざというときに家族を支える住まいになっています。

動線を考え抜いた間取り

リビングの横には客間があります。近ごろは客間をリビングと一体化させて小さな洋間にする家も増えていますが、T様は和室が大好き。ベッドではなく布団派で、お子さんもまだ小さいため、家族全員でここに布団を敷いて眠るのが楽しみだそうです。

間取りにも、ご主人のこだわりが詰まっています。この手書き図面は、打ち合わせの初期にご主人が山野内建設へ提出したもの。冬の日射取得、防災備蓄のための収納、そして客間(和室)から来客がリビングを通らずに洗面化粧台やトイレへ行ける動線まで描き込まれています。

実際に完成した住まいでも、客間から洗面化粧台・トイレ・バスルームへ直行できる間取りが実現しました。

その奥にあるのがバスルーム。ご主人「和の空間が好きなので、お風呂から坪庭が見えるようにしていただきました」。

1階の主寝室は、あえて暗めのクロスで落ち着いた雰囲気に。将来、階段の上り下りがつらくなることも見据え、1階だけで生活が完結する間取りを希望されました。

2階の子ども部屋のドアは通風タイプ。閉めたままでも風が通るので、猛暑の日でも6畳用エアコン1台で家じゅうの温度を下げられます。

2つある納戸のうち1つは、ご主人の書斎に。天井は低めながら5.5帖の広さがあり、屋根裏部屋のような趣です。ご主人の持ち物をここへまとめたことで、主寝室ほか他の部屋がすっきり片づきました。

T様邸の省エネ性能・スペック

間取りや内装を中心にご紹介してきましたが、T様邸の核心は、環境にも家計にもやさしいLCCM住宅である点にあります。断熱・気密の性能は次のとおりです。

部位・項目仕様
天井高性能グラスウール16K 229mm
外壁高性能グラスウール16K 90mm + 押出ポリスチレンB3種 100mm
基礎押出ポリスチレンB3種 100mm
土間押出ポリスチレンB3種 200mm
サッシトリプルLow-E
玄関ドアD2タイプ
換気第1種熱交換換気システム
気密性能(C値)0.2
外皮平均熱貫流率(UA値)0.25
BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)★★★★★(最高等級)

とりわけ外壁とサッシの断熱仕様が際立ちます。その結果、UA値は0.25(W/㎡K)。国の定める基準は0.56ですから、大幅に上回る性能です。

外皮平均熱貫流率(UA値)とは、住宅の内部から床・外壁・屋根(天井)・窓などを通じて外へ逃げる熱量を、外皮全体でならして平均した数値です。数値が小さいほど熱が逃げにくく、暖かい家であることを示します。

片流れ屋根 × 太陽光発電で「光熱費ゼロ」

片流れ屋根は、太陽光パネルを載せやすいという利点もあります。フラット屋根と違って架台を組む必要がなく、屋根に直接パネルを貼れるため、施工コストを抑えられます。

T様邸の太陽光発電は、試算で年間9.3kW分、金額にしておよそ25万4千円分の発電額になります。夏は発電が多く暖房が不要、冬は発電が減るが暖房費がかかる、という季節のムラはあるものの、年間で通算すれば、一般的な家庭が30万〜50万円近くかかる光熱費が、T様邸では実質ゼロに。まさにZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)です。

資源エネルギー庁によれば、ZEHとは「外皮の断熱性能等を大幅に向上させ、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギーを導入し、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅」を指します。

家を建てる多くの方が、住宅ローンの月々の返済額は気にする一方で、毎月の光熱費の重さは深く検討しないまま契約してしまいがちです。ローン返済に光熱費を合算して計画を立てないことが、後々の家計を圧迫する一因になります。詳しくは[函館で住宅を建てる人が気づくべき問題点]もあわせてご覧ください。

「光熱費ゼロ」の先へ ―― LCCM住宅という選択

T様邸は、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅関連事業に採択され、1,352,000円の補助金を受けています。

LCCMとは、建設時・運用時・廃棄時のそれぞれでできる限りCO2排出を抑え、さらに太陽光発電などの再生可能エネルギーの創出によって、建設時に排出したCO2まで含めた住まいの一生(ライフサイクル)を通じて、CO2収支をマイナスにする住宅です。ZEHが「暮らしのエネルギー収支ゼロ」を目指すのに対し、LCCMは「家の一生を通じたCO2収支マイナス」を目指す、さらに一歩進んだ考え方です。

山野内建設は、ZEHの補助金、地域型住宅グリーン化事業、長期優良住宅リフォーム補助金、すまい給付金、高性能建材による断熱リフォーム支援事業、ZEB実証事業など、住宅の省エネに関わるさまざまな制度・補助金を長年フル活用してきました。当社の建てる住宅の大半で、省エネ関連の補助金を活用できています。これは、住宅の基本性能が格段に高く、補助金の要件を設計・施工の面で無理なくクリアできること、そしてプランニングや申請の経験を豊富に積み重ねてきたことによるものです。


インタビュー:T様に家づくりを振り返っていただきました

住宅会社選びで迷ったことは?

ご主人 最初は中古住宅を買ってリフォームする案も考えました。その頃は、住宅をデザイン重視で選んでいたと思います。

ただ、築年数の経った住宅は性能・品質の面で不安がありました。そこで大手ハウスメーカーにも相談したんです。アパート暮らしで光熱費の負担も大きかったので、高断熱高気密に太陽光発電を組み合わせた、環境負荷の少ない住宅がいいと思っていました。ところが当時候補にしていたハウスメーカーは太陽光発電に消極的で、会社選びにはずいぶん迷いました。

そんなとき、山野内建設のチラシが自宅のポストに入っていて。高性能で太陽光発電も載った「光熱費ゼロ」というコンセプトに一気に興味が湧き、オープンハウスへ足を運びました。そこで対応してくれたのが、営業担当の前田さおりさんでした。

断熱・気密への関心が高いのはなぜ?

ご主人 本州は局所暖房が当たり前で、私自身も寒い家で育ちました。この家に住むまで、暖かい家で暮らした経験がなかったんです。ガス代が高いからと夜に暖房を切ると、室温が10℃以下になって、電気毛布がないと震えるほど。こたつも分厚い掛け布団を2枚重ねて、なんとか寒さをしのいでいました。

妻も「足が冷える」とよく言っていました。それがこの家では、もっと早く建てればよかったと思うほど暖かく快適です。20℃設定というと寒そうに聞こえるかもしれませんが、家じゅうがムラなく暖かく、床下エアコンのおかげで床もほんのり暖かい。妻も娘も喜んでいます。

実際の住み心地は?

ご主人 光熱費でいうと、1月1日から31日までの暖房・照明・調理・給湯を含めた電気代が16,000円ほど。売電収入が9,500円くらいあったので、真冬のオール電化でも、実質6,500円ほどの光熱費でした。室温が18℃になれば暖房が強まり、22℃になれば弱まる自動制御で、特に室温を気にすることなく快適に暮らした結果です。

1年を通した売電収入額はまだ集計中ですが、光熱費ゼロどころか、黒字はまず間違いないスペックだと思います。熱交換換気のフィルター掃除も手の届きやすい高さにしてあるので、新鮮な室内空気を保てそうです。

私たちは自然が好きで、環境問題にも関心があります。自分たちの住むLCCM住宅が、低炭素社会の実現に貢献していることが嬉しいですね。

私の実家は宮城で、東日本大震災のときには1週間停電しました。この家は非常用コンセントで太陽光の電力を使えます。売電価格が下がり、蓄電池や電気自動車が安くなれば、電気を貯めることも考えたいです。これだけ省エネ性能が高く、室温設定も抑えて暮らしているので、光熱費はかなり安く収まる気がします。これから家族で検証していくのが楽しみです。


函館・道南で「光熱費ゼロ」「防災に強い家」をお考えの方へ。 高断熱高気密を土台に、太陽光発電・LCCM・各種補助金の活用まで、山野内建設がご予算とご要望にあわせてご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

山野内建設

道南(函館・八雲エリア)で新築戸建て住宅・リノベーションを行っています。高断熱高気密に太陽光発電を組み合わせ光熱費負担を実質ゼロにする家づくりで「全棟ZEH宣言」を行っています。